サラ金店長須崎のヒステリック劇場

「あんた達!Oからの入金ないじゃないの!」

茨城訪問から2週間が経とうとしていた店の回収室で店長須崎の怒号が響き渡った。ただでさえ今月の千葉支店は回収成績があまり良くない。良くないといっても全国50店舗ある支店の中ではまだ中の上だった。

ただ須崎は回収能力を経営幹部に見込まれ大型店舗の店長に抜擢された人間、プライドが許さなかった。

なぜ回収室に置いてあるのかわからない木刀を手に持ちイライラしながらその甲高い声で金坂さんに問い詰める。

「金坂さん、どうするのよ!!」

相変わらず女将さん口調だった。

金坂さんは、いきり立ち興奮する店長須崎の言葉を全て吸収するわけでもなく、かと言って全て受け流すわけでもなく絶妙なバランスで相槌をする。

「はぁ、そうですね、、スミマセン…」

大体このパターンの結末は決まっていて、金坂さんが聞き役に徹することで店長須崎から新しい指示が下されるのだった。

「あんた達、明日訪問行ってきなさいよ!」

須崎からの指示は、お金が取れるかわからない遠方債権ではなく、電話で連絡のつかない近場の債権を金坂さんと僕の2人でめいいっぱいたくさん訪問しまくれとのことだった。

      2023/07/10

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